精霊の謳姫




「それにしても、
少し見ない間に綺麗になられましたね、
リディア様。」


「そ、うかな…?
…ありがとう。」



アレンも一段と口が上手になったと
思ったリディアだったが、言葉には
しなかった。

こちらが気恥ずかしくなるようなことを
何食わぬ顔で言ってのけるアレンに戸惑いが隠せなかったが、
それでもリディアには安堵の気持ちの方が大きかった。


昔の彼は、何かに悩んでいる様子で
いつも浮かない顔をしていたからだ。

けれど、今はとても穏やかで、その瞳に
以前のような迷いの色は一切感じられない。



「リディア様も、
あと数年で大人のレディーですものね。
近い将来が楽しみですわ!」



ふふふ、と淑やかに微笑むサリーは、
自身が言う「大人の女性」そのもののようで、
いつか自分も彼女のようになれるだろうかとリディアは美しい赤髪の魔導師を憧れの眼差しで見つめた。


しかし当然、
そんな話題を彼が丸く収めるはずもなく…




「ぷっ…!
やめてよ、サリー!
こんな淑やかさの欠片もないじゃじゃ馬が
大人のレディーとか、冗談でしょ?」



押し殺したような声でくくく、と笑う
ノヴァに、やはり彼女はわなわなと拳を
震わせている。



「ノヴァ様も、相変わらずですね…」




今日も、主の怒声が部屋に響く。

四人の楽し気な(?)談話は、夕刻まで
しばらく続くのだった…。