リディアと名付けられた王女は、
国王の側室である母親と共に、
沢山の魔導師に祝福されながら
育てられた。


その翡翠の瞳が細められる度、産みの親である彼女に似た、美しい王女に成長するだろうと誰もが確信した。


…が、一つだけ。
母親とも、ましてや国王とも。
誰とも似ても似つかぬ才があった。



奇跡と呼ばれたる由縁。



それは、”精霊の申し子”であること。

汚れのない、純真無垢の清き魂は、
精霊と心を通わせる者の証。



魔法や魔術、生命にも通づる精霊は、
邪心のある者には決して見ることは
叶わない。


火、水、風、大地…
自然に起こる全ては精霊の化身であり、
そして、その全てから、
彼女は加護を受けることが出来る。