精霊の謳姫

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「以後、宜しくお願いします。」



短い儀式を終えた
リディアの部屋の客間では、

魔導師二人と主に向けて、洗練された
無駄のない所作で腰をおる騎士の姿があった。



「こちらこそ!
嬉しいわ、”アレン”。
まさか、貴方だったなんて!」



緊張がほぐれたように笑顔を綻ばせるリディアは、鋼の鎧を身に纏う騎士の手を小さな両手で包み込んだ。



そしてその横で…



「その馬鹿が鬱陶しいようなら、
いつだって辞めていいからね。」



優雅に紅茶を啜りながら、平気で毒を吐くノヴァ。


頬を膨らませて睨むリディアなど、
意にも介さないといった様子だ。



「いいえ。
リディア様へ忠誠を誓い、ようやく
こうして専属の騎士となったのです。

この身が果てるその時まで…
姫様をお守りしますよ。」



城下の女性であれば卒倒しそうな言葉を、
アレンはニコリと爽やかな笑みさえ浮かべて言ってのけた。



「あ、ありがとう…
でもきっと大丈夫よ。
そんなに危ない場面に出くわす事は
ないと思うわ。」


面識があるとはいえ、さすがのリディア
も少しの気恥ずかしさでも感じたのか、
上目でちらりとアレンを見やった。