「ねぇってば。」
少し近くなった彼の声に振り返りたくなる衝動を抑え、ぐっと押し黙る。
だが…
第五王女付きの天才魔導師は、
そんなことで引き下がるような器ではなかった。
スッ、と。
左手に冷たい感触が奔った(はしった)。
驚いたリディアが振り返る隙もなく、
水面に自分より少し背の高いノヴァの
端正な顔が映る。
「リディア…。
この僕を無視するなんて、
良い度胸だね?」
「…っ、!」
ノヴァの声が、吐息が、耳にかかる。
悪戯を思いついた子供のように、
けれど魅惑的に微笑うノヴァが、
噴水のふちに置いていた手を掴んで離さない。
「リディアが口を開くまで、
逃がしてあげないから。」

