「酷いと思わない?
ノヴァってば、いつも意地悪ばかり
言うんだから…!」
ノヴァに捨て台詞を吐いて逃げて来たリディアは、城の裏に忘れ去られたように置いてある小柄な噴水の前に居た。
《ふふっ、また喧嘩しちゃったのね。》
キラキラと輝く、小さな青白い光は
四大精霊の一角を担う、水の精霊
ウンディーネだ。
精霊の中でも、言葉を話せる精霊は極限られており、強い霊力を持たない精霊は通常、ふよふよキラキラと辺りを漂っているだけである。
「もう、ノヴァが謝ってくれるまで、
話しかけてあげないんだからっ!」
《…話しかけるのはリディアなのね…》
「え?
何か言った?」
《いいえ、何も?》
精霊達は普通の人間には見えない。
今ウンディーネと話しているリディアも、他人から見ればワケの分からない独り言を言っているようにしか聞こえないだろう。
しかし、確かに存在している。

