「琥太郎ももう高校生か…。早いもんだなァ。父さんも年を取るわけだ」

「なに言ってんだい。父さんもまだ若いじゃないか。」

「いやいや、そういう母さんもいつまでも若々しくて…」

「…やだっ、褒めてもなんにも出ないよ!あ、コーヒーと朝食は出るけどね。」

「今日の朝ごはんはなにかな。母さんは料理が上手いからなぁ」

「フレンチトーストとヨーグルト、あと目玉焼きとベーコンとサラダとオレンジと…」



……いつまでも仲のいい夫婦だ。

コーヒーを啜りながら目の前の両親を見る。

父さんはとても穏やかな人で、元気な母さんを優しく受け止めている。

お互いベタ惚れで近所でも有名なおしどり夫婦だ。



っていうか……


「朝からメニュー多くね?俺そんな食えねーよ」

「食事はちゃんと食べないとダメなんだからね。だからアンタはいつまでもそんなひょろっこいんだよ。モヤシかい」

「モヤシじゃねーよ!ちゃんと鍛えてるっつの…」

「琥太郎。せっかく母さんが作ってくれたんだから食べないとダメだぞ。こんなにうまい飯がたらふく食えるなんて、とっても幸せなことなんだから。」




食事は残さず食べること。作ってくれた人、食材に感謝して食べること。

他にも箸使いをきちんとしろだの迷い箸はダメだの我が家は食事に関することはとても厳しい。

幼いころから耳にタコができるほど聞かされて育った。


それに母さんの料理はうまい。

量が多い朝食を全部たいらげて、ごちそうさまをしてから席を立った。