あのね、スキだよ


美咲と俺は同じ高校。

だから、必然的に校内でラブラブする二人を間近で見ることになる。

辛すぎんだろそれ。



「あ゛~~~………」



うめき声を出しながら机につっぷする。


こんなことになるなら、もっと早く美咲に告えばよかった。

お前のことが好きなんだって。誰よりも誰よりも、大切な女の子なんだって。


そしたら美咲は俺の隣で笑ってた?



「っ、美咲……!」



好きだ。好きだよ美咲。

だけどむりやりお前を俺のものにしようなんて思えない。

やっぱ女はさ、好きな奴の隣で笑ってる顔が一番綺麗じゃんか。

その笑顔に俺は惚れたんだから。


だから笑ってて。その大好きな先輩とやらの隣でさ。


なぁ、まだ好きでいるくらいは許してくれるか?



静かに俺は涙を流しながら体を起こして窓の外を見た。

すると一人の女の子が目に入ってきた。


あれ、あの子……


その子には見覚えがあった。

入学式、ぶつかって倒れそうになったのを抱き留めたことがある。

そしたら顔を真っ赤にして一回逃げたけど、すぐにまた戻ってきてカバンを抱きしめながら


“あのっ……ありがとう、ございました……!”


と言って走って行ってしまった。



小柄でなんかほわほわしてて、美咲とは全然違うタイプの女の子。

三年間一回も同じクラスになったことはなかった。

だけど廊下とかですれ違うたびいっつもちょい高めの二つ結びを揺らしながら、ノートとか教材を運んでる。

雑用押し付けられてるみたいなのに、嫌な顔一つしないでむしろ嬉しそうにやっている。


二つ結びとちっこくて雰囲気がふわふわしてんのがうさぎみたいだから“うさぎちゃん”て密かに呼んでたっけ。

名前は全然知らないけど、あの子を見るとなんか優しい気持ちになって前向きになれたんだよなあ。


うさぎちゃんとも話してみればよかったかもな。



そんなことを思いながら涙をぬぐって教室をあとにした。