やばっ。次の授業に使う資料と集めたノートをとりに来るように言われてたんだった。
クラス委員は仕事が多くて大変だ。
慌ててお弁当をかきこむ。
すると琥太郎くんが小さく噴出した。
「うさぎちゃん、焦りすぎ。ほっぺリスみたいになってる。」
リスじゃないもんとか言い返したいけど、口の中に詰まってる食べ物がそうさせてくれない。
水で一気に流し込むと私は不満げに口をとがらせて琥太郎くんを見た。
「だって、資料とノート一気に持てないから二往復しなきゃいけないんだもん。急がないとチャイム鳴っちゃうよ。」
「ふーん?」
「ふーんって…興味なさそう…」
「そういうわけじゃねえけど?」
琥太郎くんは頬杖をついて私を見つめた。
もうすっかりお弁当は食べてしまったらしい。私なんてあと半分も残ってるのに。
というか、そんなに見つめないでほしい。なんというか…すっごく食べづらい。
抗議の視線を向けていたら、彼はしょうがないなあと言う風に笑った。
そして頭をポンポン撫でられた。
……なんだかすっごくあやされてる気分なんですけど。
自然と顔に熱が集まってくる。

