琥太郎くんは肩を震わせて笑い始めた。



「ぴゃあ、だって。驚きすぎだろ。なにぼーっとしてたの?」


あなたのこと考えてました、なんて。

言えるはずない……。



「なんでもないです…それに、私の名前香織だもん。うさぎじゃないっ」

「うさぎちゃんはうさぎちゃんだろー?」

「もうっ」


琥太郎くんを睨みつける。

睨みつけられた本人は全くひるむ様子もなく、それどころか笑って私のおでこをこつんと押した。



「そんなに睨んだって怖くないですぅー」

「ちょっとぉ~お二人さん?ナチュラルにいちゃつかないでくれます~?」

「香織。卵焼きちょうだいっ」


ぱくっ。


祥吾君が私と琥太郎くんに箸を向けてからかってきたと思ったら、横から皐月ちゃんに大好物の卵焼きを食べられた。



「あ゛っ……皐月ちゃん!せっかくとっておいたのに!」

「ごめんごめん。あたしのあげるから。」

「皐月ちゃんちの卵焼きだし巻きだもん。甘くないから嫌だ」

「そんなことより、花井ちゃん先生に呼び出されてなかった?もうすぐ昼休み終わるぜ?」