「デートなんかじゃねぇよ。もうすぐ先輩の誕生日だからってプレゼント買いに行くの付き合わされたんだよ。」

「うへぇ。好きな女の彼氏へのプレゼント選びとか俺絶対カンベン。んで、なに選んだん?」

「……ブレスレット。ちなみに美咲とペア。」

「おま……自分で傷口広げてどうすんだよ……ドMかよ?」



祥吾が信じられないという顔をして俺の方を見る。

俺だって自分のことを馬鹿だなーと思う。

誰が好き好んでペアなんて選んでやるか。



「そんなこと言ったって、ペアリングとペアブレスレットどっちがいい?なんて聞かれたらブレスレット選ぶだろ。」

「あ、二択だったわけね。あれ?松本ってもう指輪してなかった?あれペアじゃねーの?」

「あれはペアじゃねえよ。クリスマスに貰ったんだって。イルミネーション見てるときに渡されてキスしたって」

「……なんでそんな詳しいの?」

「一晩中語られたから」

「ああ……」



おまえも大変だな、とか言って祥吾は労わるように俺の肩をポンポン叩いた。

諦めたほうがいいんじゃねぇのってくらいの仕打ちを受けてるんだけど、彼氏のことを幸せそうに話してる姿は超かわいいんだから仕方がない。

…これも惚れた弱みってやつか。



「今日から毎日好きな女が彼氏といちゃついてるのを見なきゃいけねぇんだな…。ガンバレ」

「頑張る」

「つーか琥太郎彼女作る気ねーの?確かに美咲は美人だけどもう売約済みだろー?」

「売約済みとか言うな。それに美人だから好きになったわけじゃねーからっ。てか、お前だって中二のときの彼女と別れて以来付き合ってねーだろ?」

「ん?……アイツと別れたなんて言った覚えありませんけど?」

「……は?」