「…胸の桜模様のバッジ…!九条院家の護衛人か…!」
九条院?聞いたことがある。
確か…
後ろを振り返って空を見上げる。
そこには一つだけビルが他の建物よりも頭が突き出ている。
あそこのビルだったような気がした。
世界屈指の大財閥だとか親父やじじいが言ってたな。
こいつがその護衛人なら、美桜はもしかして九条院家の人間なのか?
「…鷹沢組の大将と組長、そしてこの若頭に頼みたいことがある。部屋へ案内しろ」
頼みがあると言っておきながら口調は上から目線。
しばらく考えていた親父は身に付けていたエプロンを脱ぎ、テツに渡した。
「…ならその腰にあるのと胸の中にある武器、全て出せ。話はそれからだ」
親父は中指で眼鏡を上へ押し上げた。
女はしばらくしてから腰についた刀、そして胸の内ポケットから銃を二丁、終いにはズボンについたポケットからも銃を二丁取り出して地面に投げた。
そんなに武器を持ってたのか。
もし俺が反抗的になってたら殺されてたかもな。



