そんなことを考えているとお父さんに抱き締められた。




「お前は父さんの大事な愛娘なんだ。お願いだから、無茶をするな。娘の傷つく姿など父さんは見たくない。勿論、母さんだって同じことを言う筈だ」




折れた肋が抱き締められてることによって痛む。




こんなとこ重文様に見られたら親子共々傷つくだろう。




でも力が上手く入らなくてお父さんを離せない。




私は何て弱いんだろう。
たった1人じゃ、美桜様を守れない。




1人で反発しても美桜様の世界を変えることができない。




こんな小さな手では美桜様1人守れない、守るだけの"道具"。




ふっ、ほんとにただの"道具"ね、私は。




今美桜様を自由に出来るのはきっと私じゃない。
脳裏に思い浮かんだのは、美桜様と接触した金髪の少年。




私は桜の木の影から見た。
愛おしそうに美桜様を見つめる目。




そしてどこか強い目つき。