一瞬、あの人がまた来たのかと思った。
でも顔を上げればその考えも消える。
「…悠汰様」
その姿を見れば自然と口元が綻ぶ。
私の異変に気付いたのか、悠汰様は浮かない顔をして窓から入ってきた。
「どうした?何かあったのか?」
浮かない顔のまま私の顔を覗き込む、悠汰様。
私は自分を抱き締めていた手を解き、首を横に振る。
私の反応を見て、悠汰様は普段の顔に戻りいつものように窓の下に座った。
最初に出会った悠汰様は私には冷たかった。
すぐに顔を逸らし、私を見ようとしない。
私の親族と似たようなとこだった。
でも今は違う。
私を真っ直ぐに見つめ、私の少しの異変にも先程のように気付いてくれるようになった。
そらに、今は悠汰様から太陽のような温かさを感じる。
温かさ…それは小さい頃の私の太陽だったお母様が私にくれたもの。