絵里香姉様の両手を自分ので包み込んだ。




「絵里香姉様。
あなたは私の温もりだった」


「…ぬく、もり?」




首を傾げる絵里香姉様に私は頷いて言葉を紡ぐ。




「…幽閉されていた私に、あなたはいつも笑顔と温もりを届けてくれた。
それが私は何よりも嬉しくて、何よりも大切だった。


出来ることなら、黒女として産まれたくはなかった。
でも黒女として産まれなかったら姉様、あなたには出会えなかった」




"美桜!"




姉様がそう呼ぶだけで、冷えきった体が心が温かくなっていった。




それは姉様だから。絵里香姉様だから。




絵里香姉様じゃなかったら、きっとこんな温もり感じることはなかった。




「絵里香姉様が私の味方でいてくれたから、私は悠汰と出会い、人に…人間になることができた。

だから私、今は全然後悔なんてないのよ?
とっても幸せなの!」


「…っ!」


「だから絵里香姉様。
私のことは気にしないで、姉様は姉様の幸せを見つけて?


…もう見つけてるかもしれないけれど」




絵里香姉様の背後にいる真を見つめる。
真はふっと微笑むとゆっくりと頭を縦に振る。