翌朝。




「絵里香姉様、こんな早くに帰ってしまうの?
朝食くらい一緒に食べていかれたらいいのに……」


「ごめんね、美桜。
勢いで家を出てしまったから、仕事が気になってしまって」




梨緒さん特製の朝食が出来上がった頃に、帰り仕度を終えた絵里香姉様が居間に顔を出した。




仕事が気になるとは言っていたけど、早くに出て行くのには他の理由があるように見える。




考え事をしていたら、頬に絵里香姉様の暖かい手が触れて我に返る。




顔を上げると絵里香姉様はどこか寂しそうな微笑みで私を見つめていた。




「美桜。
また次いつ会えるか分からないけど、体には気を付けるのよ?

それと鷹沢組の皆さんにご迷惑をかけないようにね?
あなたは一つ気になると走り出すような人だから」


「そんなに心配なさらずとも大丈夫ですよ?
絵里香姉様こそご無理をなさらず、ゆっくりやってくださいね?

姉様は何かとせっかちだから。
真、絵里香姉様が無理をしてないかしっかり見張ってね?」


「…お任せください、美桜様」


「ちょっと真!?
……っ全くあなた達は息の合うこと」




つい楽しくて絵里香姉様と顔を見合わせて笑った。