喜史様が私の肩に手を置いて優しく微笑む。




「そうだよ、美桜さん!
何かあれば私がいつ兄諸共殴り倒してあげるから!」


「おい、なんで俺まで…あ、いやすんません梨緒様」




そうだ。
私には"家族"がいる。




傷つかないように自分を傷つける家族じゃなくて、お互いに手を取り合って助け合う家族がいる。




一人で背負わなくていい。
一緒に背負えばいい。




そう言われているようで、自然と嬉し涙が溢れる。




私の頭に優しい温もりが置かれる。
悠汰が私の隣に来て、優しく頭を撫でてくれる。




「だからお前は余計なこと考えずに、ここにいればいい」




私が考えていたことが分かっていたの?
私が皆様に迷惑をかけないように一人でいこうとしていたことを。




何度も何度もこの温もりを、感じれば感じるほどに、離れたくないと思う。




「おい、坊主!さっきから私が言おうとしていたことを先回りするな!」


「知らねぇよ!お前が言わないのがいけないんだろ」


「黙れ!美桜様、涼音もずっとお傍で美桜様をお守り致します」




悠汰と涼音が言い合って。
それに便乗して樹様が悠汰をからかって。




そんな樹様を梨緒様が怒って、梨緒様を喜史様が必死に押さえて。




お母様。
私はこの楽しい時をいつまでも見ていられるように守ってみせます。




いつかお母様に再会した時に見せられるように。