空を見る時は決まって部屋の窓からだった。




『空はね、外の世界を包み込むほどに大きくて広いのよ?』
なんてお母様は言っていたけれど。




四角の枠から見える空はいつも小さくて。
だから外の世界を覆うように広いだなんてこと信じられなかった。




外の世界に出なければこんな感動味わうことなんてなかった。
悠汰が私を連れ出してくれたから感じることができた。




草の臭いも土の感触も外の世界の空気を吸えたのもこの美しい星空を見れたのも全部、悠汰が私を連れ出してくれたから。




悠汰がいなかったら出会わなかったら、私は道具のまま生きて死んでいた。




なんて、なんて幸せなのだろう。




そう思えば思うほど嬉し涙が止まらない。




「…ありがとう……悠汰、私を連れ出してくれて…本当にありがとう」




溢れて止まらない涙をそのままに悠汰を見つめれば、「なに泣いてんだよ」と言って優しい手つきで涙を拭ってくれる。




この手が届くところにいたいと願う。
この手を離さずにいたいと願う。




そしていつか悠汰がこの手で私を救ってくれたように、今度は私がこの手を守りたいと願う。




だから悠汰。
私をあなたの傍にいさせてください。