「…世間話はこれくらいにして、そろそろ本題に入ろうか」




兄弟達の誰も知るはずのない近況を世間話と言って片付けた文人は、脚を組み替えた。




そして深い怪しい笑みを浮かべたまま、言葉を続けた。




「今回みんなを呼んだのは、黒女の導のルールの追加を提案したくてね」


「…ルールの、追加?」




文人の言葉を絵里香は繰り返すように呟く。
目を丸くする絵里香を見て、文人はそうと言って笑った。




「結子が前の会議前に言ってたでしょ?
自分は女だから黒女の導に関する会議に出ても無意味だって」


「…っ!ど、どうしてそれを…っ!」




文人が出席しなかった前の会議での結子の発言までも知っていたことに、結子は言葉が出ず身震いするしかできない。




そんな結子を見た文人は相変わらずニコッと笑顔を向けた。




その笑顔は逆に結子を恐怖に陥れる。




「いくら親族の男を使って黒女の導に参加していいって父様に言われても、結子みたいなのは次期当主の座を手に入れても満足しないでしょ?


みんなが思うように天下はやっぱり自分の力で取りたいでしょ?だから僕はみんなのために黒女の導にルールを1つ追加していいか父様に提案し、先程許可をもらってきたんだ」




文人が提案し、重文に許可をもらった追加ルールにその場にいた全員の背筋が凍りついた。




それでも文人は笑みを浮かべたまま。




「…これはある意味ゲームなんだから、兄弟(みんな)で楽しまないとね?」