「……」




瞼に眩しさを感じて、目を覚ます。
真っ先に目に映し出されたのは、見覚えのない天井だった。




ここは一体…




起きたばかりで寝ぼけているせいか、状況が把握出来ない。




すると頬に何かが貼られているのが見えた。




ゆっくりと手を動かし、それに触れる。
触った感じからそれはガーゼだと分かったが、手にはガーゼの感触を感じない。




おかしいと思い自分の両手を見る。
両手は指先からしっかりと包帯で巻かれており、その包帯は手だけでなく腕にまで巻かれている。




そこから自分は全身傷だらけだったのを思い出した。




この傷は捕まった時に拷問で受けた傷。




右の掌の包帯から僅かに血が滲んでいるのは、藤馬の剣を握った時に出来た傷だろうと頭で冷静に分析した。




それにしてもこの包帯は一体誰が手当てしたんだ…?




そして未だにここがどこか分からない。




痛みが出ないようにゆっくりと首を動かし、辺りを見回す。




すると部屋の隅、縁側近くで真剣に雑誌を読んでいる男がいた。




金色の肩につく長い髪、サイドの髪を後ろで縛り露わになった耳にはいくつものピアスが付いている。




確かこいつは…