涼音はまさか来ると思っていなかった人物に目を見開く。




涼音が無事に生きてることを確認した美桜は、安心したように微笑み涼音の元に駆け寄った。




「おい、美桜!?」


「美桜様!来ては駄目です!!」




悠汰と涼音が止めたが、遅かった。




もう少しで涼音に触れられる、その時天井から何かが落ちてきて美桜を呆気なく捕らえてしまった。




「美桜!」


「美桜さん!」


「美桜嬢!」


「美桜様!」




皆が一斉に美桜の名前を呼んだ。




美桜は頑丈なガラス製の檻のようなものに囲まれてしまっていた。




「こうも簡単に罠にハマるなんてお前、ほんと単純だな、美桜」




別のドアから声がし、皆が一斉にその方を向く。
部屋に入ってきたのは…




「湊…兄様…!」




九条院家第四男・九条院湊だった。
湊はニヤリと怪しい笑みを浮かべながら、まんまと罠に嵌まった美桜を見つめていた。




湊の背後にはクスクスと笑っている藤馬がいる。