既に門の前で待ち構えていた藤馬。
それに美桜達は警戒し、周囲を注意しながら中へ入った。




屋敷の中は大正の頃の屋敷のように、少し古風な感じがあるがしっかりと隅々まで綺麗になっている。




悠汰達は先頭にいる藤馬をまず警戒したが、藤馬から殺気のようなものは感じ取れない。




度々すれ違う使用人も美桜達とすれ違う時深々と頭を下げてきて、それはなんだか歓迎されているようにも感じてしまうものだった。




長い廊下を歩いたが誰も襲ってくる気配がなく、美桜と外で待機してるテツ以外の三人はチラッと顔を見合わせて小首を傾げた。




数多ある部屋の中で藤馬は一番広い扉になっている部屋の前で止まった。




「こちらで坊っちゃんがお待ちです」




藤馬は後ろを振り返り、胸に手を当てて言った。




そして扉にノックをすると、両手でゆっくりと扉を開けた。




扉を開けて藤馬はそのまま端に避け、美桜達が先に入るように手で促した。




美桜は藤馬を見てから部屋の中に入る。
すると部屋の隅に美桜が一番会いたかった人物がいた。




「…っ!涼音!」




全身傷だらけでスーツもボロボロな涼音が、俯いて鎖で拘束された状態で部屋の隅に座らされていた。




涼音は意識を失っていたが、美桜の声に目を覚ましバッと勢いよく顔を上げた。