そんなことは気にせず、私は悠汰の手を握った。
いきなりのことに悠汰の頬が赤くなったことに、私は気付かなかった。




そのまま悠汰の小指を、自分の小指に絡めた。




「昔、お母様が教えてくれたの。
大切な約束事は忘れないように確かなものにするように『指切り』をするのだと。
これで確かなものに信じられるものになったかな?」




昔はよくお母様と指切りをした。




その約束は決まって『明日も一緒にお話をする』というものだった。




その約束は10歳から果たせなくなってしまったけれど、悠汰。あなたとのこの約束は果たせなくなることはない。




だって私は何があってもあなたの傍を離れないのだから。




悠汰を真っ直ぐに見つめ微笑むと、やっといつもの悠汰に戻り微笑み返してくれた。




すると一階から「悠兄、美桜さんご飯だよー!」と私達を呼ぶ梨緒様の声が聞こえた。




「行くか」


「うん!」




悠汰の言葉に笑顔で返事をすれば、悠汰はふっと笑って先を歩いた。




私と悠汰の小指は指切りすることはなく、広間に着くまで絡めたまま。