胡梅は紙を見てから、美桜を見つめた。




「この紙を受け取った後、涼音が閉じ込められている部屋に行きましたわ」




胡梅の言葉に美桜は目を見開き、胡梅を見た。
胡梅はいつにも増して真剣な目をしている。




「…涼音は『助けに来るな』と言っていました。そう言われてもあなたは行きますか?美桜お嬢様」




本人は助けられることを望んでいない。
それでも美桜の意思は変わらないのか、胡梅は試している。




だが美桜の意思は固い。




「涼音を自由にする。それが私の、主の役目だから」




強い一筋の光が宿っているような、そんな目で胡梅を見つめる美桜。
その目を見た胡梅は満足した答えだったのかふっと笑った。




「私も協力致しますわ、美桜お嬢様。
私はずっと決めていましたの、『九条院家の護衛人としての涼音を殺す』と。その役目、私に任せていただきたい」




軽く頭を下げ胡梅は涼音救出を手伝いたいと言ってきた。




胡梅の部下には優秀なスナイパーがいた。
俺はあいつの性格は好きじゃねぇけど。




「もちろん。あなたの援護には期待するわ」




美桜は微笑み、胡梅の要請を許可した。




-こうして昨夜はお開きになった。-