すると悠汰は優しい目で私を見てきた。




「そういうお前は1日部屋に引きこもって、あいつのこと考えてたのか?」




悠汰の手が優しく頬を撫でる。
手から伝わる体温が心地よくて目を閉じる。




そして目を閉じると同時に頷いた。




「私がもし、外の世界に出たいと言わなければ、涼音は今頃いつものように過ごせていたんじゃないかと考えてしまうの。
私は己の欲ばかりに気をとられ涼音のことを考えてなかった」




誰かを利用して自分は助かり、その誰かを犠牲にした。




そんな風に助かっても、助かったなんて喜べない。
あなたが助からないと嬉しくないのよ、涼音。




でも無力な私はあなたを助けることは出来ない。




すると頬にあった悠汰の手が、ゆっくりと頭の上に移動した。




「お前のせいだけじゃねぇ。俺も強引に連れ出したってのもあるし、何よりあいつが美桜を外の世界へ出すことを望んでいた。


それなのに自分が外の世界に出なければなんて思えば、それこそじじいの言った通り、あいつが命懸けで救ったことを無駄にすることになる」




そんなの分かってる。




じゃあ、私は…私は…




「じゃあ、私はどうすればいいの!?」




つい怒鳴るように大声で言ってしまい、慌てて両手で口を覆う。




こんなに声を出すつもりじゃなかったのに。
悠汰も驚いて私を見ている。