利用……?
何を言ってるんだ、こいつは。





考えている間もなく、牢の鍵が開けられる。




堂々とした足取りで私に近付き、藤馬は吊るされている私の手の鎖を刀で斬った。




だが手の鎖は繋がれたままで、自由はきかない。




感覚が戻ってくる両手をただ驚いて見つめていると、私の体を影が覆い被さった。




見上げれば湊が私を見下すように見つめていた。




「この前はお前に邪魔されたが、今度は利用させてもらうぜ?」




ニヤリと不適に笑う湊。




私を利用して一体何をしようと……




「……っ!まさか!」




湊がこれから何をしようとしているのか分かってしまった私は、湊を睨む。




だが湊は表情一つ変えない。




自分のことしか考えてないように見えて、こいつは美桜様の性格までも把握している…!




そうこうしてるうちに手の鎖を藤馬に引っ張られ、牢の外に出される。




こんなことになるのなら、もっと早くに死んでおけばよかった。




私が生きているせいで、また美桜様が連れ戻されてしまう…!




坊主、美桜様を手放すな…!




美桜様、どうか私のことなど忘れてください…!




【side end】