先程から湊は俯き黙ったまま。




ついに怒りが頂点に達し、何も言えなくなったか。




「そんなに怒るなら、憂さ晴らしに私を殺せばいいだろ。
私はもう人生に後悔などない。苦しめたいなら苦しめて殺せばいい」




私はもう願いを叶えた。
美桜様を自由にするという願いを。




だから誰に殺されようと構わない。




いや、違う。




殺して欲しい。




こんな牢で拷問を受けて一生苦しむのなら、死んで楽になった方が何千倍もいい。




私にはもう生きる理由などないのだから。




生きた屍など、ごめんだ。




「…くくくくくっ…」


「……?」




突然湊が肩を震わせて、笑い出した。




顔は俯いたままだが、小さい笑い声が聞こえる。




「残念だったな、涼音!お前はまだ死ねねぇんだよ!
お前は俺に利用されてから死ぬんだ!」