【side ???】




九条院家地下牢。
主に謀反を起こした護衛人が連行される牢。




九条院家の恐ろしさからこの牢に入る護衛人は少なく、めったに人は出入りしない。




そんな地下牢への階段は当然、俺の足音しか聞こえない。




足音と時々聞こえる金属音は、牢の鍵が動く音。




めったに収容される者がいないこの牢に、一人の護衛人が入ったと話を聞いた。




主人が本家に用があったため、付き添うついでにここに立ち寄った。




階段を下りるとかなりコンクリートが古くなり、鉄の柵は錆びている。




護衛人が入れられている牢へと足を運ぶ。




牢に入れられた彼女は全身傷だらけで、いつも一つにまとめていた髪もおろされている。




手足を鎖で縛られ、手は吊るされるように上に持ち上がっており、捕らえられたと表現した方が正しい。




数少ない見張りから借りた鍵を使い、牢を開ける。




足音をたてて近付いても、彼女は俯いたまま。