男性の後をついていくと、一つの広い部屋に辿り着いた。




そこには眼鏡の男性、少し離れて先程の男性が腰を下ろした。
部屋の隅には、悠汰と似た髪色をした男性と、少し変わった髪型をした男性がいた。




「…君が美桜ちゃんだね?来るのを待っていたよ」




さ、座って。
眼鏡の男性が笑って、手で向かい側の席を指し示した。




悠汰はスタスタと歩くと、大胆に座った。




どうしようか戸惑う暇もなく悠汰が私を見て、隣の座布団を優しく叩いた。




私は悠汰の笑みに誘われるように、悠汰の隣に座った。




そこから互いに何も話さず、沈黙が続いていた。
向かいに座る眼鏡の男性はジッと私を見てくるし、先程案内してくれた男性は煙草を吸って、煙を吐いている。




隣の悠汰はまだ眠いのか、首を上下に動かしている。
それを小声で必死に起こそうとしているのは、部屋の隅にいる二人。




これは私が何か話すべきなの?
でも眼鏡の男性にジッと見られて怖くて、口が開かない。




重い空気が怖くて、悠汰の服の袖を掴む。




カンッ




何かを勢いよく叩いたような、いい音がした。




音のした方を見ると、黒髪の男性が灰皿を机に叩きつけた音だった。




「だぁー!もー!堅苦しいっつーの!
親父が睨むせいで、嬢ちゃんビビってんだろうが」


「お、俺のせいか!?それはすまない、悪気があった訳じゃないんだ」



深々と頭を下げられ、逆に困ってしまった。