【side ???】




…空が、泣いている。




星が綺麗に瞬き、雲一つない夜空なのに、空が泣いているように見える。




あなたが泣いているの……?




ごめんね、あなたが泣いているのに私は傍で涙を拭いてあげることができない。




「どこへ行った!?」


「この中にいることは確かだ!探せ!」


「当主に絶対近付けさせるな!」




夜空は静かで悲しそうにしているのに、部屋の外は騒がしい。




護衛人が騒がしいのは、侵入者が現れた時。




護衛人達の足音や声を聞いていると、部屋のドアからノック音が聞こえた。




「…失礼します」




この部屋に入れるのは家族と私の護衛人・紗七(さな)だけ。




顔を窓から紗七の方へ向ける。
水を持ってきた紗七はこっちに来て、水の入ったコップをテーブルに置く。




私はベッドに寝ていた体を起こして、薬と水を喉へ通す。




「…今日は随分と騒がしいのね。
黒女の導に何かあったの?」




私が聞くと、紗七は言うのを躊躇うように顔を歪めた。