それにしても。

ジャスティスはワイングラスを回して、赤い液体が灯りと混ざり、溶け合う様を見つめながら、考え事に意識を戻した。


リリー・ルゥは昔とは別人だな。

地上界に行く前は、野生の大型の猫のように気高く、誰にもなつかず一人でいたのに、彼女はどうだ。

まるで母親とはぐれた子猫のように頼りない。
守ってやらないと、消えてしまいそうなのに。

あの魂の事にかけては、一歩も引かない強さを見せてくる。

私を真っ直ぐに見て、凛とする姿に思わず見惚れてしまう自分がいる。


それほど大切なのか…

愛していると言うことか。

彼女に思いを馳せるといつもその事実を思い知らされ、ジャスティスの心の奥にある闇を広げていく。


ふうっと息をはき、肩の力を抜いた。

何だか無性に彼女に会いたかった。