結局、彼女の力は戻ったが、記憶が戻る事はなかった。

取り引きは成立したのに。こんな事は前代未聞だ。
「世界」は何故、彼女の記憶を戻さないのだろう。何を意図しているのか。

「世界」は彼女に甘くていらっしゃる。彼女の願いを叶えてばかりで、
国が滅びる事など気にもしないらしい。


さあ、どうやって彼女を落とそうか。

考えていたら、クックッと笑いが込み上げてきた。

「世界」が我の恋路を邪魔するか。

こんな楽しいゲームは久しぶりだ。

魔界人は誘惑するのが本来の姿。

彼女が私を求めて止まない位、愛させてみせようじゃないか。

「世界」が阻んでも、関係ない。彼女は私のものなのだから。