凛々はジャスティスに連れられて、長い回廊を渡り「世界の間」の重厚な扉の前に来た。

「さあ、入って。」

ジャスティスに促されて恐る恐る中に入ると真っ先に目についたのは三つの石の珠だった。

その中の一つはすぐに分かる。

「地球…」
思わず手を伸ばしてみるが、触れる距離でなく、がっくりと手を下げた。
そんな姿を横目で見ながらジャスティスが教えてくれた。

「そうだ。我々は地上球と呼んでいる。
黒い珠が魔界球、金色の珠が天上球だ。
この珠はそれぞれの世界そのものと言っていいくらい、シンクロしている。この珠を壊せば世界も壊れるほどに。」

恐ろしい事をさらりと言う。

凛々は話を聞いているのか、いないのか、返事もせず地球に魅了されていた。

なんて綺麗なの。
よくテレビで観る宇宙から見た地球とは全く違う。海の青や、刻々と色を変えて変化していく大地。同じ色は一つもない。大地は茶色だけでなく色とりどりに変化して、まるで生きて呼吸しているかのようだ。

(花が咲いてるんだわ)

凛々は思った。そこに星が瞬く様にキラキラと光が輝いている。

(光っているのは命だわ。無数の命。生まれては消えるからこそ、こんなに輝くのね。)
地球は何て美しい世界なんだろう。
凛々は改めて思った。