今度は二人とも黙ってお茶を飲んだ。

一時が流れ、ジャスティスが口を開いた。

「では、本題に入ろう。」

凛々は黙って頷いた。

「まずは確認したい。リリー・ルゥ。君に魔界の記憶がないのは分かっていたが、ここでの記憶を何一つ思い出していないとマーサから聞いた。本当なのか?」

一瞬、よくみる夢の事を思い出したが、凛々は頷いた。

「私の名前も?」

少し責めるような言い方に
「もちろん、名前も全てが分かりません!」

凛々は声を荒げて言った。また泣きそうになる。
「お願いだ。」
ジャスティスは慌てて優しく言い直す。

「泣かないでくれ。責めた訳じゃないんだ。すまなかった。
では、自己紹介から始めよう。
私の名前はジャスティス・“B”・リングレン。この魔界を統べる者だ。
そして、君の名前はリリー・ルゥ・“W”・ゴードン。私の婚約者だ。」

そうしてジャスティスは“契約の物語”を話始めた。