ようやく涙が止まってきた。
まだしゃくりあげていたが、泣くだけ泣いたから、スッキリした。

「落ち着いたか?」

「はい。」

ジャスティスはふぅと息をはいた。

「良かった。あれだけ泣いたら喉も渇いただろう?お茶を貰おう。」

そう言ってベルを鳴らすとマーサが一礼して入って来た。

すぐに凛々の泣きはらした顔に気がつくと、ジャスティスを睨んだ。

「ジャスティス様!女性を泣かすとは何事ですか!何をされたのです!」
「疲れていたので、横にして口づけをしただけだ。」
ぶっきらぼうに答えると、
「まあぁ!何ですってぇ!!嫌がる女性に無理矢理キスをするなんて!!ジャスティス様を見損ないました!」

言葉が足りなかった事に気づいたジャスティスは説明しようとした。

「誤解するな、マーサ!お前の思っているような事では」

「誤解も何も、リリー様が泣いてるじゃありませんか!リリー様。怖かったでしょう。もう大丈夫ですから。」

マーサは凛々に駆け寄り、手を握った。

凛々もようやくマーサの怒りの意味が分かり、真っ赤になりながら話した。

「この人の言う通りなの。急に気分が悪くなっちゃって、倒れて介抱してもらったの。」

「まあ。そうでしたか。」
マーサは凛々が頬を染めてうつ向く姿を見て、全て分かりましたと言う顔で、

「介抱に“キス”は付き物でしたね。うふふ。お邪魔致しました。はいはいお茶でしたね。ただ今お持ち致しますね。」

とニコニコしながら出ていった。

マーサ、何か誤解してない?

ジャスティスを見ると、渋い顔をしながら

「マーサのやつ、勝手に怒って、勝手に誤解して。全く思い込みの激しいやつだな。」

とブツブツ言っていた。