月を迎えて、街も城内も歓喜に沸き返っていた。


街の露店や酒場は今日は無礼講とばかりに酒や肴を振る舞い、広場のあちこちで軽快なリズムの音楽に合わせて子供も大人も踊る姿が見られた。


「やっと月のお目見えだ!天界のお嬢さんもやっと落ち着く気になったらしい。」

「はは!違いねぇ。今日は夜通し飲むぜ!乾杯と行こう。」


男達は軽口を叩きながら次々と祝杯をあげていた。


「お婆ちゃん。お空の丸い光ってる石はなあに?」


町外れの農家の窓から外を見ていた孫娘が、祖母に目を向けずに聞いた。

留守番を任され片付けをしていた祖母は近くにいき、孫を抱き寄せて「あれが月さ。生きてるうちにまた見れるとはねぇ。」


そう言って涙ぐんだ。その姿を孫は不思議そうに見ていた。