運命の二人~白と黒の物語~

突然時が動いたかのように、皆が協力し、ひとつにまとまっていた。


飛行隊員はもちろんの事、回りにいた民達も、歩きの遅いものに手を貸し始めた。


ただ一人を除いては。


「…なんだったんだ…今のは…」


部隊を率いるべき自分の命令は聞かないで、メイド長の一言で動くとは!

確かにさっきの姿はただのメイドには見えなかったが。


(マーサ。いったい何者なんだ?)


バルゴが立ち直れずに茫然としていると、

「バルゴ!何をしてるの?あなたが指揮しなくて誰がやるのっ!」


もうかなり先を歩いているマーサに大声で怒鳴られた。


「分かっている。すぐいく!」


今は考えている場合ではない。


バルゴは急いで自分のウルフファングを呼び寄せ、指揮をとったのだった。