運命の二人~白と黒の物語~

「飛行隊の皆さん。貴方達は何を守りたいのですか?」


決して大声ではないのに、その声は響いて、辺りにいた者達全てが注目した。


声の主はマーサだった。


「ご自分ですか?もしそうならお逃げなさい。
でもね、あの民達の中にはあなた方の家族はいないのですか?親しい人は?恋人は?
この国の王と、王妃になられる御方は民を守って欲しいと仰いました。
今、守りたいものがあるとするなら何か、もう一度心に問いて下さい。



しいん、と辺りは静まり返った。


マーサはそんな空気を全く感じないかのように、「さ、お婆さん。もう少しですからね。」


と老婆を促し道を急がせた。