どうしよう。どうしよう。
凛々はどうすれば良いのか、考えられなかった。
でも、このままじゃ、タロを助けられない。

でも。

クゥン。

穴の奥から鳴き声が聞こえた気がした。

もう迷っていられない!
凛々は穴に向かって歩みを進めた。

穴の前で立ち止まる。
本当は行きたくない。嫌な予感しかしない。
でも、行くしかないんだ。タロを助けなきゃ!!

勇気を振り絞って、一歩足を踏み出そうとして、また止まった。

二階に上がり、寝ているママを確認した。
ママは寝息をたてて寝ていた。

良かった。

ママの無事が分かって、涙が頬を伝う。
暫く顔を眺めてから、穴の前に戻った。


リビングを振り替える。
私の大好きな家。居場所。目をつぶるとパパやママ、友達が次々と現れた。
ナツ、茜ちゃん、武志。また明日ねと別れたのに。本当の別れになっちゃった。
また涙がこぼれてきた。
弱気になっちゃ駄目だ。いいえ。
帰ってくる。
絶対に!

自分の心に誓いをたて、先の見えない暗闇の中をただ前だけを見て歩き出した。