「愚問だね。僕達はこれから別々の世界に生きるんだから、二度と会うことはないよ。」


タロはさも当たり前のように、可笑しそうに言った。


でも、次に話した言葉は凛々の胸を打つものだった。


「これからはお互いに別々に生きていくけど、僕達の絆が切れる事はない。
凛々と過ごした長い時間は僕にとって素晴らしい人生だった。
最高の“つがい”だったよ。
凛々、僕は君が好きだ。愛してるよ。」


凛々は涙でタロが見えなくなった。


思わず腕を伸ばすと、手の平にタロがフワリと降りた。


「うん。私もタロが好き。愛してる!」


自分に引き寄せると、魂がそっと頬に触れた気がした。


愛って不思議だね。
二人の愛の形は変わってしまったと分かる。


けれど、愛がなくなる訳じゃないんだね。



ちょうどその時、ドアが開く音がして振り向くと、ジェットが二人を見て凍りついたように立ち尽くしていた。