運命の二人～白と黒の物語～

見事なものだ。結界を傷つけずに広げるとは。


こんな状況なのにジャスティスは思わず感心してしまう。
誰に魔力の使い方を習った訳でもないのに、こんなやり方を考え付くとはな。


バルゴも横で唸った。
「ジャスティス殿下は魔界でも随一の魔力の持ち主。その力に介入する事が出来る者がいるなどあり得ません。このように小さな穴を開けて何をしようとしたのでしょうか。」


「凛々は私の魔力と拮抗しているからだろう。多分、今が小さいだけで、穴を大きくして外に出ようとしたんだろうな。よく考えたものだ。」


「殿下！感心している場合ではありません！」


ジャスティスはそれには返事をせず、結界に手を伸ばし、凛々の魔力の痕跡を追うと、調度ウルフファング１頭が通れる位の穴が開いた。


「まさか結界の外に？！いったい何のために…」


「最近、凛々に変わった様子はなかったか？」


ジャスティスはバルゴに尋ねた。