森は、凛々の想像をはるかに越えたものだった。

右も左もどこまでも同じ風景が続いている。


全く同じ風景が続くなんてこの世にはあり得ないと思っていた。


でもここは。
まるで合わせ鏡の世界だ 。立っているだけで気持ちが悪い。


(気持ち悪い…。早くここから離れよう。来ればきっと場所は分かると思ったんだけど。)


灰色のもやのかかった森に目を凝らしても先は何も見えなかった。


クレイは森と一定の距離を置いて、決して近づかない。


(クレイの緊張が伝わる。私がいるからここを離れないけど、本当は帰りたいんだ。)


でも、森に入らないと。

凛々は勇気を振り絞って森に足を踏み入れた。