凛々が目指した場所は城の西門だった。


西門は城の裏側に当たり、先は崖になっているので警備も比較的薄かった。


凛々がクレイと共に西門に近づくと、警備していた兵士が敬礼をした。


「リリー·ルゥ様。本日もウルフファングと、遠乗りですか。」


不審に思われないように、このところ毎日、ここへ来ていたのだった。


「そうなの。崖の上から飛び出すのが楽しくて。」

凛々はにっこりと受け答えた。


「どうぞお気をつけて!」


兵士は何も不審に思わず、門を通してくれた。


凛々は内心ドキドキが止まらなかったが、顔には出さず、ありがとうと声をかけて、素早く走り去った。