「魔界とは、この森に囲まれている全ての土地を差します。」


バルゴが話始めると、画像は地図に変わった。


「森は、魔界を覆うように存在しています。
森と言っても名前だけで、本質は森ではなく、この森の奥がどうなっているかは誰も知りません。」


抽象的な表現で、凛々にはよく分からなかった。

「どうして?」


「この森は、例えて言うなら巨大な亜空間なのです。幾つもの異空間、異世界へと繋がっていて、入る度に行き先は変化し、どこへ出られるかは誰にもわからないのです。」
バルゴは続けた。


「もちろん全ての森と言う訳ではなく、例外はあります。
魔界に住む天界人達の国は、私たちの住む城から南の方向へ向かった森の奥に存在しています。
この森は天界人の国と繋がっていて、我々が国に入る事も可能です。

また、天界人達の国を守っているのも森で、外部からの侵入や、…ご存じでしょうが、魔界の空気そのものを浄化する力をには持っているのです。」


…そうなんだ。だから私達は国から出ても暮らす事が出来たのね。


凛々は地図をじっと見ていた。


「天界人の住む国へ入る森は、他の森との違いはあるの?」


「大きな違いはありません。目印などあれば、外敵から身を守れませんから。
それぞれの入り口は秘密とされており、限られた人物しか知らされておりません。」