「いい?凛々、よく聞いて。彼は悪魔なのよ!」

凛々は耳を疑った。


ジェットが悪魔?
今日、一緒に過ごした時間を思い出す。
泣いていた私を優しく包んでくれた。
一緒に楽しく踊ったよ?

「彼は魔族だもの。悪魔かもしれない。でも良い人だよ。」


「貴女は分かってないわ。ジャスティスの心は邪悪に満ちている。許嫁を欲しがるのは天上界の力を手に入れる為なの。」

「嘘!」

「本当よ。彼がいつも手袋をしているのが証拠よ。あれは魔族の力を隠す為じゃない。貴女に自分の心を見せない為なのよ。」


凛々はもう何も聞きたくなかった。


目をそらすと、リリー·ルゥの声が小さくなっていく。


「私の話した事を忘れないで。今のままでは貴女は地上界に帰れないわ。もう二度と、暗い、あの世界には帰りたくないの。だからお願い、凛々。ジャスティスを信用しないで。」


凛々は返事をしなかった。