「違うんです!名前を呼びたくないとかじゃなくて。その、呼びにくいというか…」

ジャスティスの表情は変わらず険しいままだ。


もう、正直に言うしかない!


「ジャ…スティスって発音、必ずつかえちゃうの。どうしても言えなくて。…ごめんなさい。」


俯いていると、小さい笑い声がした。

顔をあげるとジャスティスが横を向き、クスクスと笑っていた。


「ああ、そう言うことか。なるほど。」


そう呟きながらまだ笑っている。


(よく笑う人だなあ。いつも笑われている気がする。)

今度は凛々が膨れる。

「そんなに笑わなくったっていいじゃないですか。真面目に聞いたのに。」

凛々はプイッと横を向いた。


「すまない。悪かった。」

と謝ってはいるがまだ笑っていた。


「そんな返答が返ってくるとは思っていなかったから。君は面白いな。」

(また、面白がってる)

凛々がまだ膨れていると

「ジェットでいい。」


と唐突に言った。


「え?」

「私の家族や悪友は私をそう呼ぶんだ。だからジェットでいい。」

「いや、でも馴れ馴れしいんじゃ」
王様相手に失礼だよね。

「構わない。君は許嫁だ。私をそう呼んでも誰も気にしないだろう。」


ここまで言われたら、呼ぶしかない。

「じゃあ、ジェット。」
「ああ。それでいい。」

彼が何となく嬉しそうに見えるのは気のせいかな。

ジャスティスの顔を見て凛々は思った。