入り口の扉に寄りかかり 、一部始終を見ていたバルゴだけが不機嫌そうに顔をしかめていた。



まったく。

なんだ、この展開は。


あの女のお陰で皆が振り回されているというのに。
一切部屋から出さずに、閉じ込めて置けば良かったんだ。迷惑この上ない。


ジャスティス殿下もどうかしている。
あの女に散々辛酸をなめさせられているというのに、あの表情(かお)!
ますます女が付け上がる一方だ。

まさか、本気ではないだろうな。
国を傾けた張本人を受け入れるなど、心を許すと言うのか?
きっとまた裏切るに決まっているのに。

我が主に一度進言しなくてはなるまい。


もうこれ以上は見るに耐えないとバルゴは足早にに城の中へ消えた。