「夢ちゃん」 無意識に、声をかけた。 気付けば、下足場には俺と夢ちゃんだけになっていた。 「健ちゃん!今日は部活がないから、会えないなーなんて思ってたんだよ」 夢ちゃんの意味深なセリフを聞いて、純粋にときめく。 「ありがと! ………で、今何してんの?」 「………あ、私今日は傘持ってなくて。 少し止んでから帰ろうかなって」 生憎、雨は止みそうにない。 思いきって俺は、 「……じゃー、一緒に帰らねえ?」 と言ってみた。