「どうかした?」



「いえ、何でもないです…。

その………健太先輩が見えたから、無意識のうちに走り出しちゃってて」



夢ちゃんのその言葉に、ドキッとした。



無意識のうちに走り出したって…………。



好意を持ってくれているということなのか。



「夢ちゃん、もう遅いし、帰った方がいいんじゃねーの?」



グラウンドには女子生徒はおらず、部活終わりの男子生徒がぽつぽついるだけだ。



「"夢ちゃん"………ですか?」



顔を真っ赤にしながら言う夢ちゃん。