ちょうど息が整って、前を見てみると。

道路を挟んだ向こう側の歩道に、毎日見てる髪の長い女の子がいた。


「……絵麻?」


それは確かに。


いつも私達と一緒にいる、平沢絵麻だった。


「絵麻ぁー? こんな時間になにしてんの?」



大きな声で叫んだら、絵麻は無表情のまま、私の方に近付いてきた。


絵麻の目の前には、道路。


右からは、トラックが走ってきてた。



このまま絵麻が道路に出たら、確実にトラックに引かれる……。



「絵麻! 来ないでっ!」


私の願いは届かずに、絵麻は変わらず無表情のまま道路に出た。


トラックは、絵麻なんて見えないかのように、猛スピードで走ってくる。



目の前で、友達が、死ぬ……?



「やだあああぁぁあ! 絵麻、逃げてよっ!」




絵麻が道路の真ん中に立ったまま、トラックは強い風を私に浴びせて、通過していった。



私は思わず、目をギュッと瞑った。