夏帆と二人で、帰路を歩く。

その間も、頭に浮かぶのは絵麻のことだけ。


そんなとき、急に夏帆が声を発した。


「あれ、里奈じゃない?」


少し前から茶髪のふわふわした髪を揺らして歩いてくるのは、里奈だ。


その隣には、金髪にピアスをした背の高い男の人がいた。

高校生ではないと思うけど、まだ若い。



「あぁー! 玲美と夏帆だぁ〜」

「里奈、何してるの?」

「何ってぇ、デートに決まってるじゃぁん♪」

「あんた、絵麻のこと気にならないわけ!?」


そんな言葉を聞いて、里奈はクスッと笑った。


「あんなのぉ〜。ほんとにやるわけないじゃーん」

「もう! なんで里奈はいっつもお気楽なの!?」

「はぁ? めんどくさぁー。行こぉ?」


里奈は隣にいた男の人の腕を取って、私の横を通って歩いて行った。


夏帆は顔を赤くしてワナワナと震えてる。


「か、夏帆……?」

「あたし、里奈のためを思って言ったのに」


夏帆は、悲しく自嘲するように笑った。


そわな夏帆を見て、私は胸が痛かった。